キング

脚は震えていた

ずっとずっと
この試合の為だけに
生きてきた

行くぞ!
最初の4回転が
全てを決める

4回転サルコウ
いきみ過ぎて
軸が傾き
見事に転んだ

俺の人生
ここで終わって なるものかと
血が滲むほど唇をかみしめて 立ちあがった

脳が霧で包まれたように
それからの事は
あまり覚えていない 
とにかく無我夢中でジャンプ
ステップシークエンス
スピン

気がつくと
ラストの決めのポーズをとっていた

周りから押し寄せる
歓声と拍手の熱い波が
身体を包む

観客は国旗を振りながら
皆何かを叫び
立ちあがっていた

I am a king

小さく
胸のところで
こぶしを握った