2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

爆破

私は爆破されたどこか懐かしい所のある校庭 夕方の日差しが埃っぽい匂いを染めているそのあちこちに 躰の器管が散らばっている薄いヴェールのような魂が ひょいひょいと 飛び回って 集める 集めなくては 目 耳 脳 心臓は欠かせない それに手と足があったら最…

今日は詩ではなく日記で

昼間 運転しながら 久々に「ファイト!」を聴いた以前はいたく感動した言葉が 私の身体すれすれをすり抜けていく以前は主人公になりきって、涙して聴いたものだが…私はいったい今「闘う君」なのだろうか? 「闘わない奴ら」じゃないのか?冷たい水の中を震え…

お化け銀杏

今日もお化け銀杏が泳いでる私が小さい時に あなたはもうとても大きくて 幾つだかさっぱりわからなかった風にそよいで 柳のように垂れ下った枝が 耳元でずーっと年上だよって 教えてくれた戦争の時は 立派な根っこの辺りで 兵士が沢山 命絶えて その血を吸っ…

納豆

箸を持ち上げると 無数の粘液の糸 フン、素敵ぐるぐる同心円をいくつもいくつも描く一人の男を取り合う複数の女白色は何かを許容したしるし? 粘りはこの世に生きる為の知恵ですか?生きるものの懐かしい匂いが、ふと脇汗が少し染み出し 人は女を纏ってぐるぐ…

砂山の手

公園には誰もいない砂場に小さな山がありそこから女性の手がはえていたもしかしたら誰かを呼んでいるのかもしれないがあまりにも白く美しい手だったので考えるより先に 握ってしまったそれは砂の中に引きずり込むように無機質に冷たく魅力的だったあたかも …

蝶の羽

あの子はちぎった蝶の羽を 私になげつけた幼稚園のれんげ草は それを目撃し うなだれた花は 確かに見ていた 刺すような視線で小鳥が 蝶の胴体をくわえて 飛び去った チュン チュンと鳴きながらあの子は汚れた指で 花を詰み 先生に差し出した私は 目をつぶり …

ひしがた

まる さんかく しかく そしてひしがたひとみの中のひかり 百億年前から 瞬き続け夢を希望を 情熱を愛を 放ち 四方の隅まで 照らし出す女のひとみよ 未来永劫 光り続けよ

振動

誰かが 私のいるj面を揺さぶる それでいいのか それでいいのかと 居るのに あるのに おるのに 振動は芯を歪ませ 不安なオゾンに浸食され やせ細ってゆらゆらする存在価値居るのに あるのに おるのに j面はゆっくりと 崩れ落ちて 私は 心が散らばっていくの…

ことばコトバ・言葉

ことばコトバ・言葉 あたしの中を 小虫のように飛び跳ねているの 産んであげなくちゃ小虫は小虫を孕み 二乗が二乗になって 宇宙論的に広がっていくのことばコトバ・言葉 毎秒毎秒 排出しても 身体の中が窮屈なのほら太陽に透かして見てごらん 身体の中で泳ぎ…

箱を溺愛してるから

箱を溺愛してるから つぶす まだ洗っていない素敵なお尻でそれとも情がこぼれて匂い立っている つま先でそれとも乾いた涙が遺体のように 貼りついているほっぺで優しさを形にしたら嘘っぱちでしかない と言いたくてしょうがない唇で寂しさを覆い隠していたら…

匂い

あの人の匂いはどんな匂い土の匂い 木の匂い 麻の匂い ドングリの匂い小川の匂い 日差しの匂い 5月の田んぼの匂い 曇った日の風の匂いひなげしの匂い お母さんの匂い オリオン座の匂い それとも 心の中の小さなトゲのような物の匂い

知らない女

知らない女がいる悲しい顔をしている 少し人生に疲れた感じ 弱さと強さがまだら模様 額のあたりに繊細さが漂う 口元にはだらしなさとズルさ どれくらいの嘘を吐き出したのか 酒に浸って崩れた輪郭が 哀れさを醸し出している こんな人にはなりたくないと思っ…

落ちた魚のウロコが光った男はいつものように新聞を読みながら 朝食を食べている 存在を隠すように釣った魚に餌はやらないか壊死している部位は 取り除かなければならない わずかな徴候を見逃してはいけないしたり顔で 私を待っている 別のオスにメールする…

ライブ告知

11月24日(土) 高円寺アローンでライブをやります。開場19:00 開演19:30 出演:坂井ライ(vo,g) / ゆり(朗読) / パステル学園(vo,tuba) 1500円+500円(ドリンク代)です。あっ、『ゆり』というのが私です。興味のある方よろしくお願いします。http://k-alone…

ピンク

いつも同じ色 黒 グレー 茶色 紺 すとんとお腹の底に落ち着く 安心 安全 私らしい そうやって生きてきた 守るものなど何もないが 冒険は怖い 嫌い 心が波立つある日出会ったピンクのワンピース とっても可愛い 私には派手すぎる 若すぎる もう手遅れ見送った…

白蛇

カーテンをシャーと引いて 暗い部屋に閉じこもる 時を感じるものは すべて押しやって 心音と食欲と 排泄する本能だけ生かして 周りには 食物の残骸が 砕け散った心のように 散らばっている 時は流れただろうか?部屋の隅で 白く光った蛇が こちらを見ている…

血脈

焼いた魚とほうれん草と 茶碗蒸し 簡素な夕食食べて口を半開きにして眠りこけ 椅子からずり落ちそうになる年老いた女二本の麦酒で脳を麻痺させ 何とか生きようとする中年女も 長椅子で眠りこけている少し離れたところで二人の間にはどくどくと流れる 血の脈…

レクイエム

聞こえてくる葦が群生する川辺で 風になぶられて痛ましげに 何かを予兆する不吉な音 老婆が唄っているのか?もしかしたら月の落とした欠片が泣く声 聞こえてくる怒った波が押し寄せる 岩場の陰でささやくような 何かを予兆する不吉な音 蟹たちが唄っているの…

ビニル傘

透明なビニル傘めがけ たくさんの水滴が放射される天上では誰が 号令かけている 小鬼か、そこはお前の居場所じゃないよ世界中の女の涙が ビニル傘に 降り注ぐ 口に入ったら しょっぱさと苦さと ほんのわずかな人生の味世界中の男の涙は いらないよ それは重…

特別良い場所

閉じこもっていても 雨の気配がする 4日前の街のいやらしさは もう洗い流されただろうか こうして 椅子に座って猫を抱いていると 特別良い場所に 陣取っている気になるかすかに聞こえる雨音と 湿気を孕んだ匂いと うつむいたこころが同調する猫は膝の上で 眠…

満月の夜 アザラシは

満月の夜 アザラシは岩陰で泣いていた僕のポケットには しおれた君の手紙 額にもう一つ目が欲しいと書いてある しごく当たり前のことだよね道に落ちた葉は 自分の結末を嘆いている 神様は宙返りして 土の中に隠れてしまった だからお祈りは呪文のようにしか…

むきたまご

卵のカラを割った つるんとした生白い肌 赤い糸できつくきつく縛って ぷつりと割る 中からドロリ・ドロリ 黄色い生命溢れ 内蔵する苦悶に 悲鳴をこらえる ルージュを塗りたくった唇 こっそりと育てた背徳と淫靡 知らないふりをして そのおロに放り込んでおし…

酔いどれて

酔いどれて 片時も忘れられない 胸の辺りの ちくちくする痛みは忘れてしまいましょう生きていくには 歯を食いしばることが多いから 弱っちいと罵られても 酒の池に溺れてしまいましょう痩せ我慢はいけません だーれも褒めてくれませんでも 酔いどれて ちくち…

静かなる駅

とても静かなその駅で降りると 駅前ロータリーで白鳥が死んでいたまるで寝ているように丸まっていたが 覗き込んだら 息をしていなかった お邪魔しましたと言って 街らしき方に向かって歩き出した小さな店が軒を並べているが 人影は無かった雨が頬にかかった…

光る森2

昔 ある森の一番奥の この世で一番静かな湖には 大きな白蛇が住んでいた迷い込んだ村人が 善い人ならば 願い事を叶えてくれ迷い込んだ村人が 悪い人ならば 湖に引きずり込んで亡き者にしたある時 エセ善人の村人が 湖を訪れ 金欲しさに 白蛇が現れるのを待っ…

光る森

ずっと奥まで歩いて行きました ずっとずっと奥の方まで歩いて行きました木漏れ日が 光る帯のように 差し込み 滑らかな深緑のビロードを照らしているその上を 小さな生き物が くすくす笑い合いながら 駆けっこしている現実離れした 極彩色のキノコが それを聞…

約束

要るもの 要らないもの 大切な人 どうでもいい人 大事な事 流しておける事その境界は入り組んでいて曖昧だ 仕事はいつも大事? 趣味はそうでもない? 生きるために不可欠であったとしてもお金お金お金 約束された約束のための約束は 身体をぐるぐる巻きにし…

れもん

レモン れもんタン塩や 生牡蠣や カキフライや 海老フライや 白身魚のムニエルや スモークサーモンや 唐揚げや ステーキや 砂肝の焼き鳥や ブラッディマリー個性を潰さずに もっと もっと 自由に踊らせてくれるそんな人間には死んでもなれないだろう れもん…

わかっていた

重たく押し黙っている空に 少し押しつぶされそうで 鉄砲ユリの花を3本買って 花瓶に飾り アールグレイをいれた首が寂しがっていたので あの人に電話したら 背後でこどもが騒いでいた ああ日曜日か肩が寂しがっていたので 坂道を早足で降りたら お年寄りに飴…