爆破

私は爆破された

どこか懐かしい所のある校庭
夕方の日差しが埃っぽい匂いを染めている

そのあちこちに
躰の器管が散らばっている

薄いヴェールのような魂が
ひょいひょいと 飛び回って
集める 集めなくては
目 耳 脳 心臓は欠かせない
それに手と足があったら最高だ


「あいつは王様の埋めた
 地雷を踏んだのさ
 蜻蛉のフンのような人生だ
手のひらの上のカサカサの黒い物体」

木の枝にひっかかった
目玉はひとつ
カラスに取られてしまったよ

耳はジャングルジムに
両手は高鉄棒に
両足は砂場に半ば埋まっていたよ

「あいつは楽しみを求めすぎた
 太ったうずらの肝はワインに合うんだと言ってた」

百日箱の中に脳は座っていたけど
心臓が見つからない

ずーっと前から
此処を徘徊している
あの優しい顔のおばあさんが
ハンドバックにしまい込んで
持って行ったかもしれない

あれがないときちんと
死ねないんだ
おばあさんの家を教えておくれ

この辺りを縄張りにする
ボス猫に聞いたら
冷ややかな眼差しで睨まれ
『自業自得にゃ』