ずっと奥まで歩いて行きました
ずっとずっと奥の方まで歩いて行きました
木漏れ日が
光る帯のように
差し込み
滑らかな深緑のビロードを照らしている
その上を
小さな生き物が
くすくす笑い合いながら
駆けっこしている
現実離れした
極彩色のキノコが
それを聞きながら
ゆらゆら体を揺らす
小鳥たちは
光る森のうたを
口ずさみながら
宙返りしている
もう少し奥に行けば
この世で一番静かな湖はありますよと
賢そうなシマリスが教えてくれた
そこに住む白蛇が
ずっと探していたものの在処を
教えてくれるはずだ
急いで行かなければ
急いで…
『鈴木さん、点滴終わったから抜きますね
きっと治るから、頑張ってね』