蝶の羽

あの子はちぎった蝶の羽を
私になげつけた

幼稚園のれんげ草は
それを目撃し
うなだれた

花は
確かに見ていた
刺すような視線で

小鳥が
蝶の胴体をくわえて
飛び去った
チュン チュンと鳴きながら

あの子は汚れた指で
花を詰み
先生に差し出した

私は
目をつぶり
絶叫した
そうしなければ
生きられなかった