2012-11-26 砂山の手 公園には誰もいない砂場に小さな山がありそこから女性の手がはえていたもしかしたら誰かを呼んでいるのかもしれないがあまりにも白く美しい手だったので考えるより先に 握ってしまったそれは砂の中に引きずり込むように無機質に冷たく魅力的だったあたかも 私を捕らえようとしているみたいに指先が狙っていた私は伏せ目がちにやり過ごして早足で家に帰り鍵を掛けたあくる日 公園に行ってみたら砂山の手はもうなかった安心するのと同時に寂しかった人にたずねたら カラスがくわえて行ったそうだカラスの暴挙に 嫉妬する自分を感じた寧ろ、砂の中に引きずり込まれたかったのに臆病者らしくほぞを噛んでいた