お化け銀杏

今日もお化け銀杏が泳いでる

私が小さい時に
あなたはもうとても大きくて
幾つだかさっぱりわからなかった

風にそよいで 
柳のように垂れ下った枝が
耳元でずーっと年上だよって
教えてくれた

戦争の時は
立派な根っこの辺りで
兵士が沢山 命絶えて
その血を吸って
巨大化したという

だから
お化け銀杏

あなたは
私がこの世から消え去っても
ずっとずっと此処で葉を纏い 染めて散らすでしょう

お疲れさま
しっかり目を光らせててね

今日もお化け銀杏がゆらゆら泳いでる