しかし 私は そこにいた

しかし
私は そこにいた
時が砕け散って
降り注ぐ
そこに

生命を背負った鳥が
鋭く 一声を放つと
太陽の光の中に
吸い込まれていった

土の底から
突き上げるマグマに
呼応する
私の拍動
新しく生まれるものは
すべて
しずくを纏い
何かしら美しい

葉の下で
うごめく
ひどく原始的な
いも虫でさえ
存在を
わたしの脳裏に
刻み込む

ただ一つ
陰の底で
断末魔の
叫びをあげている
首都東京は
ひっそりと
おきざられている

女郎花

魂の半分以上を天に預けて
ふわふわ歩いていたら
小さい石ころにつまずいて
転んだ
目の前には黄色い女郎花
しれっと 笑われたような気がして

確かに 何となく 固まりのように
生きている

わかっている事を
笑われて
恥の意識が
皮膚の表面で 凝固する

膝から滲んだわずかな血と痛みが
ふやけた感情に
楔を打ち
熱した飴のように 伸びる

アリスが迷い込んだ
あの洞穴に
するりと 飛び込んで
小さな家の窓から にょきにょき
感情の手と足を伸ばせば
女郎花も
感心して
くれるだろうか

狭い身体の中に押し込めた
私の魂が
居心地悪そうに
ギクシャクしている

女郎花は
私の生きる挙動を
じっと見つめている

まるで誰かに報告しなければ
いけないみたいに



iPhoneから送信

蜜虫

ころころ ころころ
われのたもとの中で戯れる
玉虫色の小さき虫
蜜虫

ころころ ころころ
虫は恋しい気持ちを
伝える為に耳元まで上りて
羽ばたきする

羽音は
あのお方の囁く声となり
心に語りかけ
あふれる思いに
身をよじらせる

虫よ
われの恋しい 恋しい思いを
すくい取り
あのお方に伝えておくれ

春のあけぼの
七色に輝く羽根を広げ
それ、飛んでいけ
桜の乱れる野を越えて

ミッキーとの生活

犬を飼うということ
思ったより、ずっと大変だ
そう言えば、以前犬を飼ったときは
家族が沢山同居していた
今は 犬一匹対私1人だ

兄がどんな育て方をしたのかはわからない。
おしっことウンチは順調に覚えてくれたが、
わたしが仕事で居ない時に、ミッキーは豹変する
かわいい犬から悪魔へと…

囲いのサークルの木はかじりまくる
ウンコは蹴散らして、あちらこちらに散らばっている。
多分、ミッキーは不安神経症なのだろう。
でも、なんとか、協力して1人と一匹で
暮らしていかなければ…

3ヶ月前は、こんな事で悩む時が来るなんて
想像つかなかった。

人生って予想がつかない

明日は引っ越し‼︎

重い鉛がぶら下がっている腰を、
ようやく持ち上げ、
引っ越し先を決めた。
いよいよ明日引っ越しだ。

今住んでるとこと、目と鼻の先の所
早く引っ越して
預けっぱなしの、ミッキーを迎えに行こう。

先日、下の兄の四十九日で、
手を合わせて、報告した。
ずっと下の兄に対して、
何もしなかった後悔の気持ちが、とても重たかったが
少しだけ軽くなった気がした。

ミッキー

下の兄は、10年前から犬を飼っていた。
名前は「ミッキー」
ミッキーと離ればなれになるのを、嫌がって病院には入らなかった。
目がキラキラして、とってもかわいいわんちゃん。

今ミッキーを引き取る為に、私は動いている。
誰かのために、何かしていないと悲しみが押し寄せるから…

頑張るからね、待っててね。

下の兄貴

私には兄が2人います。
下の兄が、かねてより患っていたので、
終戦記念日に様子をみにいったら、
昼間言葉を交わせたのに、夜亡くなってしまいました。

下の兄には、本当に何にもしてあげることが、できなかった…
だから、いつまでも涙が止まりません。