刻印

瞼を閉じても
刻印のように眼球に刻まれた光景
目玉が疼く

確かにあの時に私は私を売ったのだ
自分をまがい物にするために   

路地裏の野菜売のおばあさんが
私の顔をじっと見ている

欲に目がくらんだ女
己を売った奴
売己奴

非難するように道端につばを吐いた
その隣の汚れた子供もつばを吐いた

夢中でおばあさんの包丁を手に取り
自分の両の目玉を突き刺した

眼孔からだらだら血を流しながら
たどり着いた安らぎの中で立っていた