デリヘル

ドアノブに手をかけ
立ち尽くす

いかなる妖怪が毛穴に小虫を飼いながら
待ちかまえているのやら

送ってくれた経歴不詳のドライバーは
節目がちに「気をつけて」と言った
くぐもった声だった

知らない男のへやは未曽有だ
蛇がでてくるか マックロクロスケか 毛ジラミか
さ、商売商売
稼がなくっちゃ
とにかく中に入らなければ!
何も始まらない

60分後
私の心臓は規則正しく動いているだろうか
考えすぎよ
明らかに考えすぎだ…

ドアの横のチャイムを思い切って押した
『ピンポーン』