空が溶け出して
海になだれ込んで
私の心の中の甲殻類
忙しく動き回り
チクチクさせる

磯の匂いは 
私のDNAに流れ込んで
甘酸っぱく 懐かしい想いを
蘇らせる

寄せては返す波音を聞いていると
羊膜で包まれて眠っていた頃に
聞いたかもしれないと
ふと思う

裸足になって 砂浜を歩いていると
光ったガラスで
必然のように足を傷つけ
その尖った痛みは
  あいまいにぼやけていた自我に
楔となって 刺さった