トマト  ーアンテナびんびんナイト即興の詩ー

皮がところどころ破れ
熟れた赤い肉がのぞいている
つぶつぶの種も見える

荷物をかき集め
可愛がっていた木を抱いて
疾風のように出て行った彼女

「もう一緒には居られない」と言っていた
理由を聞く暇も 与えてもらえずに

キッチンには赤い実一つ

皮がところどころ破れ
熟れた赤い肉がのぞいている

握ったげんこつで
思いっきり
赤い身を叩いた
汁が四方八方に飛び散り
僕の白いTシャツに
赤い湖が拡がった