エウリディケ

腐りゆくこの世で
リカバリー号に乗って
まぶたのない瞳で 凝視している
嗚呼 エウリディケよ

君の金色にゆるくほどける髪が
ポイポイと空中に飛びかう
赤ん坊を受け止める

鳥は翼を燃やしながら
カウカウと鳴く
君の赤い涙は とめどがなく
流れ続け
白いドレスは
嘆きに染まって

エウリディケ
あのお方に
体をはじめとして
全てを
許したのですね

廃屋は
温まらずに
虚偽のヴェールをかけられて
君の口唇からは
煙となった失望が

小蝿のような人間たち
脳のない頭を
振りながら
せわしく
行き交う
狭い額に皺をよせながら