生きのいい魂になる薬

ある日
だらだらとアーケード街を歩いていると
間口の狭い奥行のある店先で
ロの裂けた女が
「生きのいい魂になる薬はいらんかね」
と叫んでいた
どうでもよかった私は
ありったけの金を払って
緑色のビンに入った黒っぽい液体を買った

家に帰って布団を敷いて
薬を飲み干した
とても苦く胃に焼けるようにしみわたった
何も変わった事はなかった
ただ少し眠くなったので
横になった

気がつくと3日経っていた
貪るように傷みかけたバナナを食べ
トイレに行き手を洗おうとすると
鏡にうつった自分が
目に入った

眉毛がつながっている
顎に毛がちょびちょび生えている
滑稽な顔の自分がいた

食べ物を買いに外に出た
少し歩くと
   子供が不思議そうに私を見つめている
やがて大声で笑い出した
笑われているのは私だったが
つられて笑ってしまった

実に久しぶりに大声で笑った
身体全体を揺さぶって
   魂をローリングさせながら


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☆来年の抱負☆
来年はナンセンスな
短編な
文章を書きたいと思います。
読んだ後に「?!」が
あればいいな。