北の果てで光っていた

氷の粒が風に踊って
煌めく

打ちつける空気の塊に
耐えながら
北の果ての海岸に屹立していた

もう随分長い時間生きてきた
良い事 手のひらですくえるくらい
悪い事 うんざりするくらい

最北端で寒さに萎えた私は
しおらしい

もう人間を辞めてもいいのではないかなんて

あるいは死んでも
またするっと誰かのお腹に入って
産まれたりするような

波が足に被さるギリギリ
視線を落とすと
傷ついた小さな魚
もんどりうっている
ピタピタと

「もうだめだろう」

はねたりくねったり
熱をおびた様子で
命を溶かしだしていた
やがて するすると
波に乗って行ってしまった

くねってねじってよじって
熱っぽく
いじらしく
いきてみようか