ノート

今日を綴じつけようとする時
閉じられないノートを前に
めくれないノートを前に
うなだれる

ノートは記録だ
川がどういう風に流れてきたか
風がどう起こってきたか
土が何を細かく積み重ねてきたか
細胞が いかに稀代的な偶然で 生まれてきたか

鏡に写した顔の細胞の一つ一つが
何かを話そうとしていて
取りとめなく
ああ、取りとめなく
漠然と

収束できない私に囲まれて
ノートを前にして
うなだれてしまうのだ