2013-02-25 魍魎の匣 ひとひらの雪をすくい うなじにあて じゅうと音が空に響き鬼に賄賂をわたした 後ろめたさで自分の形を しばれる夜に こっそりと隠そうと 小さく丸くなるいにしえの卑弥呼は 朝靄に紛れ 石の斧を振り下ろし その屍を 傍らに 夜毎子守歌を歌ったというわたくしは 魍魎の匣露わにしては いけない思いを 朝方の 藤色の空気に 流してながしてただれた朝焼けに 膨らみかけた下腹が 疼いた