ゆめ

森の奥には 小さなみずうみ
大きな月が浮かんでいる
足先をそっと浸す… 

吸い込まれる
吸い込まれていく

気がつくと 懐かしい生家
死んだはずのおばあちゃんが
立ち話

兄貴が青洟をすすりながら
悪い顔で
子分を引き連れて
闊歩してる

と、母が白い割烹着を着て
顔を出した
若い、きれい、ピカピカしてる

お母さん、私はこんな大人になったんだよ
なってしまったんだよ


私はどこ、どこなの
あ、いたいた
座布団の上で
ブリキの金魚を握り締め
すやすやお昼寝

あなた、ごめんね
わたし、一生懸命生きてきたんだよ
小さな寝顔を見ながら
暖かい涙が 止めどもなく流れる
止まらない

「お母さん、どうしたの?」
どんどん叩く音がして
小さな寝顔とそっくりな女の子が
顔を出した
「お風呂で寝ると溺れちゃうよ」