時の虫

あなたの淋しい背中が
消えていったセイタカアワダチソウ

その近くの水飲み場
私は手首を切った
土に吸い込まれていく血色の滴
ぼんやり見ている

子ども達
またその親達

蟻達は
せわしなく動き回る

寝間着の中を
這い回る
銀色の虫
ぎしぎしと
脳に入り込もうと

あの道をずっといけば
分水嶺だったはず

セイタカアワダチソウは茶色く
枯れ果てて
カマキリが産み落とした
卵から
無数の小虫が這い出した

生誕祭
わたしも