さけび

茫々と
風が吹きすさぶ葦原に
ただ棒のように突っ立って
ひんがしの山々に向かい
叫ぶのだ

曲がらない身体を
ぎしぎし軋ませて

有らん限りの
この世の終わりの声で

それは修羅場のようであり
極楽のようでもあり

死ぬ力で
死なない力で
生き延びる力で

半世紀前の
広島の川で
助けを求める人々の
熱っぽい手を
振り払ってしまった
力で