夜の麒麟

真夏の寡黙な夜に

熱が流れる

 

溶けていく 身体

震え続ける こころ

 

止まってしまった時計の針

塔のように象徴化した

じぶん じぶん 麒麟

 

麒麟の涙は赤く悲しくて

砂漠のようなシーツに 赤いドットを落とす

 

記憶装置を爆破します

 

なかった事にしたい

ドームの中に逃げこむ 麒麟

臆病すぎる麒麟

 

淵の近くには行ってはいけない

覗き込むと ほのかに光る深い穴に

吸い込まれてしまうから

 

持ち重りのする

じぶんのカラダ

いらない気分が漂う

魂だけ薄くふわっといられたら

 

翳った月に照らされた

見つけてはいけない絶望

身体の中で絶叫する

じぶん じぶん 麒麟