時代

世の中はめまぐるしく
渦巻きながら流れていき
テクノロジーのしぶきを浴びせながら
私を残していく

少年少女は片時も
スマホを手放そうとしない
まるでそれが神器であるかのように

若者は心のナイフを
光らせる事に余念がない
いつか使う時が来るかもしれないと

母親たちは
学校での噂話をメールで
まわすのに忙しい
少々の毒を含ませながら

あなたたちは
昔、縁側で
母の膝に頭をのせて
耳かきしてもらった時の
日差しの柔らかさを
声の温みを
肌と肌とが
触れあった時の安心感を
知っているのか
危惧してしまう

時代の波よ
どうぞ私を取り残しておくれ

私は心の襞を覗き込むのに
忙しいのだから

そっと
静かに