踏み切りに立つと








カンカンカン
踏み切りに立つと
くらっと 目の前が白くなり
くるくるつま先で回りながら
吸い込まれそうになる

あの音は危険だ
あの音に胸がざわつく

まるで荒れ狂う
海の声を聞くみたいに
不安と 羨望とに
挟み撃ちにあって
鉄砲玉をくらったように
ふらふらしてしまう

カンカンカン
踏み切りに立つと
くらっと 目の前が白くなり
亡霊の御影が 声の限りに
私の名を呼んで
おいで おいでと

行けないの
逝けないの

踏み切りでは
何も聞かず
何も見ず
無表情で